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そこを真っ直ぐ行って
右の路地に折れ五百米

藍い暖簾をくぐって
ガラガラっと戸を開けると

おでんの匂いと
焼き魚の香ばしい香り

品のいい声で女将が出迎えてくれる

すっとカウンター席に身を委ね
冷の二級酒と焼きししゃも

女将と他愛のない世間話をして
冷を一口

疲れた体に染み渡る
二口、三口と進むうち

体も火照っていい気持ちに

馴染みも何人か見えたその時に
おでんを頼むその声に

ハタと気付いた
帰りのバスの中


コンビニで買った
おでんの匂いが誘った


夏の黄昏時

皆様お気をつけ下さいませ

-戎-